トップページ > 新着情報 > 「分かる」と「できる」

「分かる」と「できる」

このエントリーをはてなブックマークに追加

「分かる」と「できる」

糸山泰造著「絶対学力」より(2)

 飛躍できない子供たちの存在を見えなくしている原因は、「分かっていなくても、できるようにさ

せられてしまっている」ことにあります。「できれば分かる」という宣伝文句に乗って、手順だけを

覚えて条件反射的に答えを出し、「できたできた、ドンドン進め」とやっているうちに、分かっていな

いことが山積みになり、取り返しがつかないことになってしまうのです。「できたから先に進む」は、

「高度な学習への移行」を意味してはいません。それどころか、新しい手順を覚えるという、最も貧

弱な学習を数多くしているだけです。これは多くの人たちが勘違いしている点です。できても分かる

ようにはならないのです。

 「分かっていないのにできる」子供にしたい親などいないはずです。しかし、小学校では個々の子供

の理解度を確認してはくれません。学校によっては、むしろ「できる程度に応じて」何段階もの習熟

度別クラスに分けて授業を行っています。あくまで「できること」が目安です。当然「理解度別」で

ありません。現在の公立小学校では、そんなことは不可能です。ましてや中学校では・・。みんなが

「できる」に向かって一直線です。そこで計算がスラスラとできたり、漢字を多く書けたりすると学

力が高いと親は勘違いしてしまうのです。

 そして、この盲点をついて盛んに行われているのが考えない学習の代表である反射式プリントで

す。この種のプリントは、分かっていなくてもできるようにすることを目的に作られていますので、

大変危険です。もちろん「分かっていないのにできるようになります。」とは書いてありません。「で

きるようになるだけで、分かるようにはならないプリントを使っています。」とも書いてありません。

「できれば分かるようになる」という解説を読んで、親がそう思い込んでいるだけなのです。ですから

いつまで経っても分かるようにはならないのです。また、「分かっていないのにできる」状態になる

と、本人までもが分かっていないのに「分かっている」と思ってしまいますこれでは、自発的な学

習はいつまで経ってもできません。

 私は、「分かっていないのにできる」よりも「分かっていないならできない」方がずっといいと思い

ます。なぜなら、病気なのに症状が出ないことほど恐ろしいことはないではありませんか反射式プリ

ントで鍛えられた子たちは、その期間の長さにほぼ比例して、考える力をつけていくのに時間がかっ

てしまいます。遠出をする時に、ガソリンが減るのを見たくないからといって、車のガソリンメーター

に目隠しをする人がいるとは思えません。親がすべきことは、目先の結果を気にして「できる」こと

を追うのではなく、子供が本当の自信を持って生きていくことができるように「考える力」を育てて

あげることなのです。

 反射式プリントとは、「考える」という頭の活動を経由せずに、条件反射的な反応を育成するための

プリントを指します。つまり、問題を解く場合に、その問題の意味を理解して答えを出すのではなく、

問題の中にあるキーワードや数字に反応して機械的に(自動的に)知っているパターンを実行すること

で答えてしまう習慣をつけるものです。例えば、文章問題の中に3と8という数字があると、文章の意

味を考えずに、足したり引いたり、掛けたり割ったりと裏付けのない計算をします。反射式は反復式の

一種ですが、一般的な復習を目的にしたものとは構造的に異なっており、反射式の中に「考える」とい

う要素は入っていません。逆に、「考えさせない」ことが反射式の主要素なのです。

ご注意

ページのTOPへ