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9歳の壁

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「9歳の壁」

青葉塾の小学生の中心教材は「算数文章題」です。その開発者であり、「どんぐり倶楽部」

の主催者である、糸山泰造先生の著書「絶対学力」を掲載していきます。(1)

 

小学校低学年の時に満点ばかりとっていた子が、小学校高学年や中1の3学期になると、特に原因が

あるとも思えないのに、急に「分からない」と言い出すという話をよく耳にします。あまりにもそう

いった例が多いので当たり前になっているようですが、私は、これは異常なことだと思っています。一

昔前に「落ちこぼれ」という言葉が頻繁に使われましたが、今はあまり耳にしなくなりました。しか

し、少なくなったわけではないのです。見えにくくなっただけなのです。

 実は見当もつかないくらい「落ちこぼれ」は増えています。私はこの現象を「満点落ちこぼれ現

象」と呼んでいて、低学年の時に深い学習を怠った結果、表面的な理解に止まってしまうことが原因

だと考えています。小4以降の学習内容が急に難しくなっているためではなく、低学年ですべきこと、

つまり考える力の養成をしないで暗記力と計算力で点数をとっていた未発達な子供たちが高学年で学

業不振に陥っているのです。

 この現象は、特に計算を速くする練習ばかりしている子供たちに数多く見られます。なぜなら計算

を速くするように命令を受けている頭は、考えることができない状態になるからです。高速計算の練

習をしているつもりが、毎日考えない練習をしていることになってしまっているのです。もともと、す

べての計算を速くする必要はありませんし、ある時期が来るまではしてはいけないものなのです。速く

計算する必要があるのは「10の補数(10になる足し算)」と「九九」だけで、他の計算は手順を理

解して正確にできればいいのです。小学校低学年ですべきことは計算を速くすることなどではなく、考

える力を養成することではないでしょうか。低学年で満点でも高学年で落ちこぼれてしまっては本末転

倒です。

 人は通常、9歳前後を境に思考形態が変わる(日常的で現実的なことだけを考える→いろんな考え

ができる)ようになっています。この境を乗り越えることで成熟した考え方(抽象思考)ができるよ

うになるのです。ところが、頭の中での言葉の操作(思考)が十分にできないと、この境を乗り越え

られなくなってしまうのです。教育界では、この境目を「9歳の壁」と言ったり、「具象世界から抽

象世界への飛躍のポイント」と言ったりします。飛躍ができない子供たちには一様に思考力が育ってい

ません。

 本当の学力とは、パターンを分類して素早く処理する、言い換えれば解き方を覚える能力などではな

く、未知の問題を前にして揺るがない自信で黙々と工夫し考える力のことです。そして、生きる力と

は、切り口を変えて見ることができる柔軟な思考力のことです。9歳の壁」を乗り越えられない

と、これらの力はどちらも育ちません。

ご注意

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